森林の手入れ・伐採・育成森は命の源

【人工林と天然林】

【人工林と天然林】
樹木の50%以上を植栽などで生育された森林を人工林と言います。
日本では国土の70%が森林で、その40%が人工林です。

一方、主に自然の力によって発芽して育った森林を天然林と言います。

【森林整備の3区分】
森林にはさまざまな機能があり、私たちはその恩恵を受けています。
この機能を最大限に活かすためには適切な管理と整備が必要です。

そのために全国の市町村では、森林を「水土保全林」
「森林と人との共生林」「資源の循環利用林」の3つに分け、それぞれに応じた対策を進められています。

【森林整備の3区分】

【水土保全林】
荒廃した森林や渓流の復旧や土砂の流出・崩落防止、防風及び防潮、水源かん養や生活環境保全などの機能を重視する森林です。
雨や雪解け水を貯え、ゆっくり流し出して渇水や洪水を調整する機能があります。
そのために間伐、大径木の育成、樹齢や樹高の異なる樹木で構成される複層林の施業や治山事業が行なわれています。

【森林と人との共生林】

原生林などの貴重な自然環境を守り、自然との触れ合いの場とすることを重視する森林です。
快適な森林空間を目指して自然景観を守り、多様な樹種を植栽するなどの整備が行われています。

【資源の循環利用林】

木材の効率的な生産を行うことを重視する森林です。
安定して木材を提供し、資源としての役割を果たせるよう整備が行われています。

それぞれの森林の目的に沿って 伐採・育成され 各地に理想的な森林が育っています。

〇複層林

複層林は、大きな木を必要な分だけ伐採しそのすきまに苗木を植えます。

こうすると陽当たりが良いので、森林が持つ様々な機能を維持しながら木々を生育することができます。

また、常に山が緑に覆われているので森林の持つ機能を維持する事ができます。

複層林が施業された当初はこんな感じです。

〇【針広混交林】

意外に思われるかも知れませんが、生物の多様性から見れば、広葉樹林よりも、針葉樹と広葉樹の針広混交林のほうが優れています。

ただ単に木材を得るためだけではなく、森林が持つさまざまな機能を発揮できるように針広混交林の施業が行われています。

広葉樹を群状や水平の帯状に残しながら針広混交林を育成すれば、土砂崩壊や流出が発生しても、残した広葉樹などが緩衝帯となって被害拡大の防止に役立ちます。

地衣類や広葉樹の落ち葉などは、雨が落ちる際のクッションと保水材となり山肌の浸食を防ぐことができます。

また、広葉樹の落ち葉や小枝は浸透性の高い有機物となり、水源かん養の機能が高まります。

加えて、森林土壌中には樹木が固定している炭素の
6倍もの量が貯留されるので、森林を育成することが温暖化防止に役立ちます。

高知県の嶺北地方で 木材の伐採作業を 見学してきました。

〇複層林

ここは高知県の嶺北地方、愛媛県との県境にある寒風山です。
山麓で行われている伐採作業を見学してきました。

ここは間伐伐採の現場です。

これくらいにスカスカになるように間伐すると地面に光が届き、下草や地衣類が育ちます。

高知県の索道技術は大変優れていて、H型架線集材システムは100~200m間隔で2本の親綱を張り、向こう側の峰までの50haもの現場をひとつの索道でカバーできるので、広い国有林や間伐伐採に向いていると思われます。

その方式には
・エンドレスタイラーダブル式
・3エンドレス3キャレッジ式
・ホイスチングダブル式H型
・シングルエンドレスホイスト(ジャスト-2搬器)式
などがあるそうですが、ようワカラン。。。

こんなワイヤーをどうやって張るのでしょうか?
実は最初はラジコン飛行機を飛ばして細いヒモを張り、太いワイヤーを引張っていくのだそうです。

これは集材機(ウィンチ)です。
H型架線集材システムでは、4胴、直引力5t程度の大型集材機か3胴集材機を2台同時稼働するそうです。

写真中央の集材基地まで架線集材で搬出します。

そこにはバックホーが待ち構えていて次々と枝打ちし、定尺に切断していきます。
バックホーの腕の先の機械がハーベスタで、1200万円以上する高価な機械です。
これ一台で枝打ち、定尺切断、積込みが行えます。
その早さにはビックリ。

高知県土佐町の皆伐現場に移動しました。

こちらは単線式の架線です。

このような小規模な民有林や列状間伐には単線式が向いています。

単線式の集材システムに、横方向に引っ張ることができるホールバックラインを加えると、単線ながら広い範囲での作業が可能となります。
操作はラジコンなので安全性と作業効率に優れます。

下は架線を張るタワーヤーダーです。
この機械は架線作業が大幅に短縮でき効率的な上、急傾斜地に向いているので今後の活躍が期待されています。
(出典:イワフジ工業㈱)

この丸太で15m程度でしょうか。
奥に見えるプロセッサで長さを定尺に合わせて玉切りします。
木材の定尺は3m、4m、6mが主です。それ以外は山に特注する事になります。

林業機械にはこのほかに・・・。
・ーバンチャ・・・伐倒・集積
・ハーベスタ・・・伐倒・枝払い・玉切り・集積
・プロセッサ・・・枝払い・玉切り
・スキッダ・・・キャタピラー式集材車
・フォワーダ・・・キャタピラー式集材車・グラップル搭載
車は積載もできる

など様々な機械があります。

ここは、高知県高岡郡四万十町大正北ノ川にある四万十町森林組合北ノ川山元貯木場です。

生産された原木丸太は原木市場へ集材され、競り市により製材所が購入して、材木となります。

高知県の索道技術は大変優れています。
H型架線集材システムはその最もたるものです。
広い国有林であるからこその技術だと感じます。
また
欧米は広くて平らな畑のような森が多いですが
日本は急峻な山地が多く
山仕事にコストと時間がかかります。
民有林でも索道技術を生かせる方法がありそうに思えますが・・・?

日本の林業の現状は!?

日本は国土面積の約70%が森林におおわれた世界有数の緑豊かな国です。森林は美しい景観と豊かな生物多様性に加えて豊富な木材資源となります。

いにしえより人々は森の恵みを受けて日本独自の素晴らしい木の文化を築いてきました。

日本は降水量が多いので樹木が育つのに適しており、全国どこでも樹木が育ちます。
また、地理的に見れば、南北に長い急峻な地形なので各地の気候も様々ですから、森林の植生も多様になります。

世界有数の森林国でありながら、国産材の自給率は年々低下して2002年には19%と最低となり、2020年現在はやや持ち直して約37%程度となっています。

木材自給率の低下には、安い外国産材が普及してきた事と、林業に携わる人々の高齢化、後継者難が大きく影響しています。
それには、林業家は樹木を育てて木材を生産しても赤字では経営が成り立たず、やむなく廃業に追い込まれている事が大きな原因となっていました。

(最近、高性能の林業機械が広がり始め、明るい兆しが少し見えてきたように思えます。)

木材の生産が止まれば維持管理を行われなくなった森林は荒廃し、保水能力の低下によって引き起こされる土砂崩れなどにより自然環境は悪化する、あるいは、炭素吸収量が少ない老木が増えて、森林のCO2吸収量が少なくなっています。

手入れをされない森はもう壊滅的状態です。杉や桧などの人工林は人の手で森を育てて再生していかなければなりません。

そのためにも
近くの森の木で家を建てましょう!

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